
年末に交付される「源泉徴収票」、そして明らかになる、今年一年の努力を示す数字。
それが「年収」です。
去年の年収と比較し、金額の増減に一喜一憂すると思いますが、もう一つ気になるのが「平均年収」に対して自分は上なのか下なのか、ということ。
それを踏まえて、

とお悩みの方も多数いらっしゃると思います。
このままで将来大丈夫か、他の人はもっと貯めてるのではないか。
そう不安になった時、年収同様に「平均貯蓄額」に対して自分が上か下か調べることがあると思います。
「平均年収」と「平均貯蓄額」は様々な場面で使われるワードですが、閲覧するサイト・資料によって金額が異なったり、思った以上に低かったり高かったりで驚いたり、という事も珍しくありません。
今回は、実状に近い本当の「平均年収」と「平均貯蓄額」について解説し、最後に「貯金を増やす方法」を考えてみたいと思います。
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目次
平均年収の実際
はじめに、日本の平均年収の実際について解説します。
より「現実」に近い平均はどれくらいなのかを考えてみましょう。
国税庁データから読み解く平均給与
参考にする上で信憑性が高く、多くのサイトでも紹介しているのが国税庁の「民間給与実態調査結果」です。
最新版の平成30年分(令和元年9月交付)の内容を抜粋しますと、
- 対象の平均年齢は46.4歳
- 平均給与は441万円(男性545万円、女性293万円)
- 正規雇用の平均給与は504万円、非正規雇用では179万円
- 平均賞与は70万円(男性90万円、女性41万円)
※平成30年12月31日時点で源泉徴収義務(民間の事業所に限る)に勤務している給与所得者(所得税の納税有無を問わない)が対象
平均給与は年々上昇しています、平成20年時点では406万でしたので約35万円の上昇ですね。
最初に登場した平均441万円という金額と比較する事が多いと思いますが、これでは少し材料が足りません。
まず、年代別の平均給与も見てみましょう。
仕事も家庭も軌道に乗り始めた30-34歳を例にすると、平均給与は410万円です(男性470万円・女性315万円、正規・非正規込み)
対象が若年層に変わった分、全体的に少し金額が下がります。
しかし、ここまで見てきたのは平均です。
給与階級別の比率を見ると、一番多くの比率を占めるのは300-400万円、次いで多いのは200-300万円、今回平均年収とされた441万円(400万円超500万円以下)の比率は14.9%で3番目という結果なのです。
500万円超の比率は合計30.9%、つまり全体の7割は平均以下、残りの3割が平均値を引き上げているという事が読み取れます。
本当に知りたいのは、全体の中で自分は何位にいるのか、だと思います。
「平均値」と「中央値」の違い
そこで用いたいのが「中央値」です
まず、平均と中央値の違いを解説します。
- 平均値:すべての値を合計し、データの個数で割った数字
- 中央値:データを大きい順または小さい順に並べた際の真ん中の数字
このように、文字にすると似たような表現ですが実際に計算すると大きく結果が変わってきます。
例えば、下記の様な年収が並んでいるとします。
例:①100万円 ②200万円 ③300万円 ④600万円 ⑤1,500万円
- 平均値:(100+200+300+600+1,500)÷5=450万円
- 中央値:5つの真ん中の数字である③=300万円
この例では⑤1,500万円が大幅に平均値を引き上げてしまっており、平均値と中央値で150万円も差がでます。
平均年収も同様に、全体の3割の高所得者(500万円超)が平均を引き上げてしまっています。
ですので、実際参考にすべきなのは「中央値」という事になるのです。
年収の「中央値」
年収中央値を統計した直近のデータは存在しません。
しかし冒頭にご紹介した「民間給与実態調査結果」の給与階級別の人口分布から推計すると、「平均給与から10%程を引いた数字が中央値に近い」と言われています。
つまり、
- 全体の年収中央値:約400万円
- 30~34歳の年収中央値:約370万円
これが私達が比較したい本当の参考年収という事になりそうです。
平均貯蓄額の実際
では、平均貯蓄額についてはどうでしょうか。
信憑性の高い、金融広報中央委員会の「会計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」という統計があります。
最新版の令和元年(2019年)分の内容を抜粋しますと、
- 調査対象は3,222件の世帯、平均年齢58歳、平均世帯人数3.1人
- 貯蓄額の平均値:1,139万円
- 貯蓄額の中央値:419万円
- 「老後が心配」と回答したのは全体の81.2%
平均年収以上に、高額貯蓄者が平均を引き上げている事が結果に反映されている事が推察されます。
ここでもやはり「中央値」を参考にするのが適切と言えるでしょう。
そして、残念ながら年齢別の貯蓄額に関するデータは掲載がありませんが、平均年齢を大きく下回る30代世帯では上記よりも低い金額になる事は明白です。
「老後が心配」と回答している世帯が8割を超えているのも特徴です。
年金や保険が十分ではない事が不安の理由として多かった、との内容でした。
貯金を増やす方法
参考にすべき年収と貯蓄額がわかりました。
では、どのように年収を引き上げ、貯蓄を増やすことができるようになるでしょうか。
考えられる4つの選択肢をご紹介します。
報奨金と昇進
今の会社で努力して結果を残し報奨金を得る事、または昇進する事で年収の上昇を狙うのが一般的な収入を増やす方法でしょう。
ポジションが変わらない場合の昇給はどの企業でも限定的ですが、昇進する事で基本給の10~20%の上昇が見込めます。
特に外資系企業の営業職で結果を残せば多額の報奨金も狙えます、今の会社に不満が無く業務内容にやりがいを感じているならば最も有効な方法です。
転職
「今の会社ではこれ以上年収は上がらない」と感じるなら転職が有効です。
同じ業務内容でも基本給・報奨金は企業によって異なります。
これまでしっかりとした実績を積んでいるなら、基本給を上げたうえで転職を狙う事も可能です。
今の仕事内容は好きだけど、会社に疑問を感じている方には良い選択と言えるでしょう。
起業
「会社に頼らず稼ぎたい」「青天井に稼ぎたい」と感じるなら、会社員を辞めて起業する事も選択肢の一つです。
会社員には様々なストレスが降りかかりますし、爆発的な年収の伸びを期待する事は難しい特性があります。
しかし独立・起業をするならば話は変わります。
無収入になるリスクもありますが、これまで抱えていた不満やストレスを一掃し青天井に稼げる可能性も出てくるのです。
副業
結論、一番おすすめなのは「副業」を始める事です。
会社員を続ける事には、無収入になる事が無い、福利厚生や退職金が期待できる、等の様々なメリットが存在しますので、個人的には安易に辞める事をおすすめしません。
最近では在宅や隙間時間にスマホだけで完結できる副業も多く存在します、自分次第ですが副業だけで本業の収入を超える事も十分に可能です。
まとめ:平均年収の実際と貯金を増やす方法
いかがだったでしょうか。
年収・貯蓄額は「平均」よりも「中央値」を参考にすべき理由、貯金を増やすために必要なポイントを中心に解説させて頂きました。
将来に不安を抱える方が非常に増えている事を統計が物語っています。
この記事が年収や貯蓄に悩む全ての方に少しでもご参考頂ければ幸いです。